2020-08-20


あと5日で20代が終わる。

30代を迎える時は何か記念のものを迎えようと

ずっと前から決めていた。

定番ではあるけれどやっぱり

腕時計かなぁなんてぼんやり考えてた。



もしも腕時計を買うなら、

絶対ジャガールクルトのレベルソがいいなぁと思っていた。

もしくはカルティエのタンクかパンテール。

たまにネットで写真を眺めては

どんなベルトにしようかな~とか

シルバーにするかゴールドにするか妄想したりして。

あー早く30歳にならないかなぁなんて

胸をワクワクさせていた時期もあった。



ところが、今世界がこんな状況下だからなのかもしれないけど

困ったことに現在絶賛無欲モード発動中。

今、全く欲しいと思っていない自分がいるのだ。



ジャガールクルトやカルティエの時計を始め、

ロエベのハンモックとか、エルメスのシェーヌダンクル、

バカラのアルクールのグラスだったり、

長年憧れている素敵なものが世の中にはいっぱいある。



憧れのものには違いないから

こういう30代突入というまたとない節目に

理由をつけて買ってしまえばいいんだろうけど

こんな中途半端な気持ちで

ブランド品に何十万もするものを迎えられるほどの気っ風は

あいにくまだ持ち合わせておらず。



きっと今は迎えるべきタイミングでは

ないんだろうなぁと、漫然と思う。

ここぞという時がいつかまたくるよね。



今は自分への誕生日プレゼントとして

ブランド品じゃなくて仕事用に新型iMacがほしい。

そんな色気のないことを考えている。




「節目」に対して、年々どうでもよくなる。


自分の誕生日はもちろん、

大晦日から新年を迎える時、

クリスマスやらなんやらのイベントごとも

だんだん過ぎ去る日々のうちの

なんの変哲もない一日でしかなくなった。



昔は日付が変わる30分前からソワソワして

心の中でカウントダウンしたり、

0:00ぴったりであることに異様なほどこだわって

その瞬間をジャンプしたりしてきゃっきゃしていたのに。


新しい元号が発表されるっていう

もう今生で体験できるかわからないような貴重な瞬間も

平成から令和に変わる瞬間も

のんきに爆睡をかましていた。

ふと、これでいいのか?とたまに思う。



10年前の成人式だってそうだ。

東京から静岡に帰るのが

面倒だったからという理由で欠席した。

24歳くらいまではたまに思い出して

「振袖着て写真くらいは撮っておくべきだったかなぁ」と

思うこともあったけど今ではもう思い出しもしなくなった。



かつては

30歳になるということが自分の中で

結構大きいイベントだと思っていたけど

今気持ちがびっくりするくらい、凪だ。

ただただ迎え入れる準備はできている、って感じ。


これでいいのか、わたし。笑



でも節目ってものはきっと

数字だけ見て迎えるものじゃなくて

過ぎ去ったときに結果的に見て

あれが節目だったなって気づくものなんだろうな。



振り返ると27歳の時がわたしのこれまでの人生で

一番大きい節目だった。

きっとまた何かの節目を迎える時は

過ぎ去ってから気づくものなんだろう。



とりあえず30歳を迎えるにあたり、目標だけ立てておこう。



20代は、とにかくいろんなものを

見て知って経験して吸収することに必死だった。


悩んで迷って遠回りして失敗して、

時に暴走して、後悔するほどいろんな人を傷つけて、

傷つけたことにも気づけないほど未熟だった。


普通なら人がすぐ気づけることも学習しなかった。

何度も繰り返したりなかなか抜け出せなかった。

何においてもわたしは気づくのが遅かった。



27歳くらいを境に

自分が意固地になってこだわってたものが

実はあれもこれもいらなかったんだと

だんだん気づけるようになった。

削ぎ落としていく作業に切り替わっていった気がした。


理想や野望を挙げたら今もたくさんあるけど

進むべき道も明確になった。


30代は今の自分の周りにあるものや

本当に大事なものと誇りを大切に持って生きたい。



20代はただがむしゃらに自分のためだけに生きたから

30代は自分以外の誰かのために生きたい。

29歳の誕生日の時も同じことを言ってたけど)



対象はなんでもいいんだ。

好きな人でも家族でも植物でも動物でも、

とにかく自分至上主義ではない生き方をしたい。


自分の好きなことを

誰かの役に立てられるようにしていきたい。

それって最高な生き方だと思うから。


それが30代の目標。


30代はどんな漫画が描けるかな。

楽しみ。



2020-08-13

folklore






先月末リリースされたテイラーの新譜、

"folklore"を流しながら今これを書いている。



テイラーは、昨年リリースしたアルバム"lover"

ツアーフェスをこの夏に予定していた。

でも、今回のパンデミックによって

全ての公演が中止となった。



世界中の人が自粛生活を余儀なくされ、

楽しみにしていた予定もなくなり

静かな時間が過ぎる中

突然こんな文章がテイラーのSNSに投稿された。






「この夏、わたしが計画していたことは

ほとんど実現しませんでした。

けれど、もともと計画していなかったことが実現しました。

わたしの気まぐれと、夢と、恐怖、そして空想を注いだ

8枚目のアルバム、"folklore"(民間伝承、言い伝え)です。


これまで作品を発表する時、

わたしは完璧なタイミングを計算してきました。

しかし、今わたし達が生きるこの時代には

保証されたものなど何もないことを思い知りました。


わたしの中にある何かが

愛しいと思える作品を生み出したなら

すぐに世界に発信していくべきだと

言っている気がしたのです。

不確かな側面ではあるけれど、

わたしはその直感を受け入れることにしました。」




いきなりなんの事前告知もプロモーションもなく、

突然今から数時間後に16曲入りの新譜をリリースすることが

発表され、わたしはもうそれはそれは驚いた。


謎にタイムリーだけど、ちょうどこの時わたしは

インスタグラムの質問箱に回答していて

「テイラーの好きなところはどんなところですか」という

フォロワーさんからの問いに答えていたところだった。

そこに突然この報せが舞い込んできたのだから仰天した。






今見返すとちょっと面白い、この興奮の臨場感。笑

あまりの感情の昂りに

2枚目を書いている時のことはもうほとんど覚えていない。



以前、テイラーは自身のドキュメンタリー映画の中で

「わたしのスケジュールは2年先まで埋まってる。

もうすぐ来年のスタジアムのツアー日程も決まる。

だから無計画な行動はできないの」と言っていた。


そんな多忙を極める彼女が、

この半年足らずの静かに内に篭っていた期間で

頭の中にさまざまな空想を浮かべペンを手に執り

この驚異的なスピードで一枚のアルバムを完成させたというのだ。



さらには、

ロックダウン中の4月からアルバムの制作に取り掛かり、

アーティストたちに楽曲制作をリモートで行いませんかと

オファーの連絡を持ちかけ、

医療検査官の厳重な監修のもとで

ヘアメイクや衣装スタイリング、監督をも自身で務めながら

ミュージックビデオを撮影。

完全なソーシャルディスタンスを保ちながら

身近な人にもすべてを秘密にして

黙々と制作していたというのだから本当に驚いた。



ファンはもちろん、

テイラー本人さえも生まれることを

予想していなかったこのアルバム。



青天の霹靂のようなこのニュースは

瞬く間に世界中で話題騒然となった。

またそのアルバムの内容が想像をはるかに超えるほどの完成度の高さで

あっという間にミリオンセラーに到達した。


今まで見たことないほどの勢いで、

各方面絶賛レビューの嵐となった。


これまで、テイラーは新しいアルバムを出すたびに

まるで生まれ変わるように新しい自分のスタイルを

積極的に取り入れてきた。



そこにはきっと彼女の

アーティストとしての根っこの部分にある

「皆を楽しませたい」という想いがあるからだと思う。

でもそれは当然ながら毎回賛否がついてまわっていたように感じる。


新しいことを取り入れたら

「前の方が良かった」という人が現れるのは

ごく当然のことだ。



だけど今回リリースした"folklore"は違った。

こんなに絶賛の声しか見かけないのは珍しいなと感じるほど

ファンだけではなく各界の音楽評論家たちからも軒並み絶賛の嵐だった。



例えばこんなふうに書かれてあった。


「テイラー・スウィフトの

サプライズ・アルバム“folklore”

彼女の最高傑作だ」



「ロックダウンとは音楽とミュージシャンにとって

恐ろしい瞬間だったかもしれない。

しかしテイラー・スウィフトにとっては

これまでのアルバムの中で

最もパワフルで成熟したものを生み出す結果となった」



「私たちの何人かは

テイラーがこのようなアルバムを作ることを

何年も夢見てきた。

だが誰もこれほど素晴らしいものになるとは

夢にも思っていなかった。

これは彼女史上最高のアルバムだ!」



「スウィフトは普通のポップスターではない。

そして普通のソングライターでもない。

彼女の作品は、ポップ・ファンだけでなく

ソングライティングの専門家からも常に尊敬されている」



「間違いなくロックダウン時代の最初の偉大なアルバムだ」



「真実を見たくなかった人でも今は認めるだろう。

テイラー・スウィフトはアメリカで

最も偉大な現役ソングライターの一人だ」




一見少し大袈裟すぎるのでは!?と

思うくらいの絶賛の嵐。


だけど一度聴いたらそれも頷けるほど、

ファンの贔屓目を差し引いても

傑作と呼ぶにふさわしい素晴らしいの一言に尽きる一枚だった。



全体を通してどこかノスタルジックを感じさせる雰囲気。

「これはテイラーのこと?」と思わせる

ドキッとするような歌詞もあれば、

まるで物語の一節を読んでいるような

難解な比喩が込められた歌詞もたくさんあった。




テイラーが若い頃に購入した歴史ある大豪邸。

その豪邸をかつて所有していた富豪の女性の暮らしを描いた歌

 "the last great american dynasty"



3人の男女を登場人物に見立てて

3曲をそれぞれの視点からの三角関係を描くという

新しい試みを用いた"cardigan""august""betty"



テイラーの祖父が第二次世界大戦時に出征した

ガダルカナル島での出来事と

今回のコロナウイルスのパンデミックの

最前線で働く医療従事者の想いを重ねた歌

 "epiphany"など。




全曲アコースティックギターとピアノが基調で

曲調も淡々としていて、とてもシンプルな構成。

だけどとても重厚で複雑さを感じさせる、

不思議なアルバムだった。



輪郭がつかめない曖昧な描写も多くて

このアルバムのすべての意味を

完璧に理解できないことをもどかしくも感じた。


でも、きっとそれでいいんだと思う。


テイラーの空想がきっかけで生まれた作品なのだから

完全に理解ができなくてもそれで当然なんだと。

だからこそこんなにも心が癒され、心地よく

この作品の美しさが際立つのだと。



暗いニュースが騒がしく続く今、

現実からの逃避=空想に耽ることで

テイラーの本来得意としていた

ストーリーテリングの才能が完全に開花した。

そこに彼女のソングライティングの能力と

これまでに磨いてきたスキルが組み合わさったおかげで

今回一切の無駄なものがない

彼女の魅力がぎゅっと凝縮されたこの作品が

最高の形と最高のタイミングで生まれたんだと思う。



予期せぬ事態が幾多に重なって生まれた、

まさに奇跡のような瞬間に立ち会えたんだと感じた。



わたしは、テイラーの

昔からどんな逆境も一貫して

音楽で昇華させていくところを本当に尊敬している。


汚されず、折れず、だけど柔軟に、

新しいものを生み出すことで立ち直る

真っ直ぐなその姿勢が本当に本当に素敵だと感じる。


どこまでも輝く彼女の魅力には、

尊敬の念を抱かずにはいられないのだ。



そして今そんな彼女が生み出してくれた音楽を

健康な身体で聴ける自分がいること。

テイラーと同じ時代に生きていること。


その事実が本当に嬉しい。

当たり前なことではなく、

とてもありがたいことなのだと

今回改めて噛み締めた。


なんだかこうやって文章にすると、

どうしても淡々とした口調になってしまうけど

要するにね

テイラーさんあなた本当にすごいよ!

好きだよ、大大大大大好きだよ!

と、ありったけの溢れ出る想いを

タイピングに込めたくなってしまう。



十数時間後にリリースされますよと告知された直後、

わたしの体に巡るアドレナリンは最高潮に達した。

寝る時間も削って今回の"folklore"にまつわるイラストを

10枚以上描き続けた。

あの最高な時間も忘れない。


素晴らしい作品を届けてくれて

ありがとうテイラー。
































2020-08-12

そじ



 長かった梅雨も明けて

やっと夏らしい暑さがやってきた。



うだるような暑さの夏は

やっぱりどうしても好きになれないけど

少し前に毎日雨が続いてて

「今日こそは今日こそは」と

カーテンをシャッと開けるたびに

曇り空と雨にがっかりしていた日々を振り返ると

カラッと晴れているだけで気持ちが明るくなるから

夏もそんなに悪くないなと思う。



ここ最近の自分はというと

相変わらずどこを出かけるにもマスク着用だし

電車に乗って出かけるのは月に一度の歯医者くらい。

考えることといえば

家の中をどう充実させるかとか

明日の夕飯の献立は何にしようだとか、

すっかり「生活」が中心の日々になった。



あんなに毎シーズン情報を追っていた

大好きなコスメのことも

なんだかちょっと疲れてしまい、

コスメレポの漫画連載もこのコロナ禍を理由に

少しの間お休みさせてもらった。

ひと休みするちょうどいい機会じゃないかと思い

あまり積極的には追わず、そっと傍に置いていた。



もともと自分は、よく行くレストランでは

変に新しいものに冒険しないで

いつものメニューを頼んだり、

とっておきの一つがあれば

それをしばらく飽きるまで

使い続けたい性格だったはず。


好きなものがただ一つあればいいなって

今も強くそう思う。

そういうものを大事にしている時間も好きだった。



物質的な豊かさより

知識や経験や感動こそが

本当の意味で自分を豊かにしてくれるって、

昔も今も変わらず思うこと。



それがいつの間にやら

世にひっきりなしに溢れる

「可愛い」「限定」「新作」の情報に追われて

はい次!はい次!ってベルトコンベアみたいに

常に新しいものをキャッチしないといけないって

強迫観念みたいなものになっていたことに気づいた。



それは自分の性に合っていなかったんだなと

今回の自粛期間で考え直すいい機会にもなった。



最近は新しい情報を自分から

追いかけないようにして

買うものも最小限になった。

そういう生活がわりと心地よかった。




この間、昔から好きな色のリップが

廃盤になるってことをたまたま知ったのがきっかけで

ルナソルのサイトを覗いてみたら

この秋に出る商品がとっても素敵なものばかりで

久しぶりにこれでお化粧がしたい!と心が躍った。


こういう発見こそが特別なんだと感じたし

縁のようなものも感じた。


そして久しぶりに

「ああおしゃれをするって楽しいな」

と心から思うことができて、嬉しかった。



まるで宝物を見つけたようなこの胸の高鳴り。

頻繁に感じられるものではないけど

たまに出会えるものだからこそ良くて

追わずとも巡りあうものだからこそ

ひとしおに嬉しく感じるんだ。



今年は今まで生きてきた夏とは

何もかもが全く違う夏だけど、

こんな風に見失いかけてたことを思い出せたり

いつの間にやら自分が無理してたことにも気付けた。

けして悪いことばかりではなかった。




退屈だったり窮屈だったり

悪いことの方が目についてしまいがちけど、

そんな中でも生き生きとした気持ちでいられる方法を

自分なりに見つけようと思った。



あと半月で20代が終わる。


それまでにできるだけ

本来の自分の素地を取り戻した状態で

新しいスタートを切れるように

明るい気持ちになれたこととか

嬉しかったこと、できるだけ記録していこう。



ブログももっと気軽に書こう。

今日思ったことは今日のわたしにしか書けないんだ。