2020-06-18

無味乾燥の部屋

わたしは部屋づくりのセンスがない。


自分の欲しい情報をいつでもどこでも

インターネットから引き出せるこの時代。


着る服もメイクも音楽も料理のレシピも食器も

「なんとなく自分はこの感じが好き、

これはちょっと違うな」っていう取捨選択が

いくらでもできる中で、

昔から唯一その感覚をうまく掴めないカテゴリが

部屋づくりである。



どんなテイストが好きとか嫌いとか以前に

正解がない上に組み合わせが無限大すぎて

何をどう揃えれば完成形なのかが

全くもってよくわからないのだ。

全然ピンとこない。


ピンタレストやインスタで

素敵なお部屋の写真や統一感のある暮らしを

送っている人たちを見ると、

すごいなーと羨ましく感じてしまう。



部屋はその人の性格や心理状態を映すと言うけれど

そもそも自分の心理状態の投影の仕方すらわからない。





見よ、このザ・無難オブ無難な部屋を。

イケアと無印良品をぎゅっと

凝縮したようなシンプルさを。

(イケアと無印が悪いって言いたいわけではない。大好き)



今の部屋は誰からも何の感想も持たれないような

無難っぷりだけど、数年前のわたしの部屋は

とにかくひどかった。



「わぁーこれ素敵!」と感じるたびに

何も考えず手当たり次第いろんな物を買ったせいで

家中の物たちがお互いの持ち味を殺し合った。

それはもう悲惨な状態になっていった。



当時、世では西海岸テイストが流行っていて

ロンハーマンやWTW

サーフカルチャーテイストな雑貨小物を

たくさん買い漁った。


かと思いきや

unicoでほっこりカントリー感のある

テレビボードとテーブルを買い揃え、


そのテレビボードの上には

当時の恋人とおそろいで買った

真っ赤なsupremeの小物入れを置き、

その隣にはニコライバーグマンのプリザーブドフラワーと

サンタマリアノヴェッラのポプリを置いた。


レトロな感じのグリーンのカリモクチェアの隣には

無機質な真っ白のイームズチェア。

(しかもどでかいVANSのステッカー貼ってて意味不明)


作業デスクの上には蚤の市で買った

ラブリーなアンティークのペン立てを置き、

ベッドにはペンドルトンのネイティブ柄のブランケット



もうこれを打ってて恥ずかしくなってくるほど

とにかく全てがちぐはぐ。

まるでインテリアのバトルロワイヤル。

合戦場のような状態になっていた。



当時付き合ってた恋人に

「お前ってインテリアのセンス本当にないよな」と言われたことがある。

悔しかったが何も言い返す言葉がなく

その傷が今もわたしの中に根深く残っている。



そして時が流れた今、その反省を生かし(?)

こんなに無難で無味乾燥な、

良くも悪くも無個性でありふれた部屋しか

作れなくなってしまった。



ベッドシーツひとつ買うのも

これはまた全体的なまとまりを

ぶち壊してしまうのではと怯えた。

とりあえずシンプルなものを買っておけば大丈夫と、

安全牌を進むようになっていた。



だけど、時代は令和。

もうそろそろわたしは生まれ変わりたい。



コロナウイルスの流行で

「部屋」という空間がより身近で、

唯一生身の自分を守ってくれる

シェルターのように感じる今だからこそ、

この無難の呪縛から抜け出したいのだ。


正直今も自分が目指す部屋がどんな部屋なのか

何を買ったらいいのかよくわからない。


とりあえずもうあんな合戦場にだけはならないよう

それだけはくれぐれも気をつけて、

手探りで部屋を完成させていきたい。





部屋作りへの意欲が燃え上がったので、

もう廃刊になってしまったけど

昔毎月買っていたMAISHAという

素敵なインテリア雑誌の

バックナンバーを探して購入した。


フランフランが発刊してたこの雑誌、

海外のおしゃれなお部屋や業界人の部屋特集や

東京に一人暮らしするおしゃれな女の子の部屋とか

とにかく隅々まで読みたくなるナイスな特集ばかりで

素敵だったのだ。

丸山敬太さんのアトリエ特集が特に記憶に残ってる。



わたしが今日この無難な部屋に仕上げたのは

きっとこの日の決意を迎えるためだったんだ。

だからこんなにシンプルな部屋を作ったんだ、

これから素敵な色で彩っていくための

真っ白のキャンパスを整えたんだ!と思うことにした。



とにかく色だ。わたしの部屋には色が必要だ。




というわけで、早急に欲しかった食器棚を

小手調べに探し回った。

形も値段も幅も高さも収納力も良い感じの

無垢材の食器棚とシェルフを見つけ、

ペンキで好きな色に塗ることを決めた。



集合住宅だし、窓開けて塗ったら

近隣の人に臭いが迷惑かな?

室内で塗ったら気持ち悪くなるかな?と

心配だったけど、調べてみると

室内塗り用のペンキという

便利なものがあることがわかった。


水性ペンキだと水で薄められて匂いもきつくないから、

家具や壁に塗る際に向いているんだそうな。


そんなこんなで今日は塗る色をどれにしようか考えていた。


ペンキのカラーチャートを眺めているだけでわくわくする。

DIYはおろか簡単な家具の組み立てすら大嫌いだったけど、

彩りのあるお部屋とお皿のためなら頑張れる。

実家から新聞紙を大量に持って帰ってこないと。



そうそう、食器棚といえば

最近買ったお皿のことも書こうと思う。





つちやまりさんという作家さんのお皿。

わたしが初めて買った作家もののお皿。

インスタでいろんな器を見て

「素敵だなぁ欲しいなぁ」と思うお皿を

たくさん見つけたけど

つちやまりさんの作品を見てなんとなく直感で

「これはわたしが買う初の作家さんかも!」と思った。

そしたらまもなくして個展の開催を知り、

ドキドキしながら足を運んだ。












なんと素敵なお皿たち。

一つ一つ丁寧に繊細な絵入れがされていて、みとれてしまった。

ご本人が在廊されていたので思わず話しかける。


「作家さんのお皿に憧れてて、

今まで市販のお皿しか買ったことがなかったんですけど

つちやさんの作品を見て絶対欲しいと思って

今日初めて買いに来ました」と伝えると、


つちやさんもその場にいたお客さんも

ギャラリーのスタッフさんも

「素敵ですね」「記念すべき作家物デビューの日ですね!」

と言ってくれた。


じめっとして空が暗い天気の日だったけど

なんだか嬉しくてカラッと晴れたような気持ちになった。

雨が降り出す前にと、大事に抱えながら足早に帰った。






これは沖縄のやちむんのお皿。

と、ずっと欲しかった辻本路さんの素敵な十字の箸置き。


やちむんのお皿は残り4枚だったところを

オンラインストアで見つけて購入。

支払い手続きが終わった時にはもう完売していて危なかった。


模様がとっても素敵で

厚みがあってしっかりしてて、安定感も抜群。


大事に扱わないとすぐ壊れてしまいそうな

繊細なお皿もその儚さが素敵だけど

これは土のどっしりとした力強さが感じられて

そこにもまた惚れ込んでしまった。


オンラインストアで買うときは

皿の厚みや感触はわからなかったから、

手に取った時の喜びもひとしおだった。


コロナが落ち着いたら

沖縄の読谷村の工房がずらっと並んだ

やちむん通りに行ってみたい







イホシロ窯のかわいすぎる箸置きたちと、

母からもらった南部鉄でできたピーナッツの箸置き。

箸置きをひとつしか持ってなかったのに

ここ1ヶ月でものすごい箸置き充になってしまった。

いっぱいに詰まった箱の中から

今日はどれを使おうかなと選ぶ時間が楽しい。

小さな幸せ。









これは料理に使う器ではないけど

パロサントを置く用のプレートを探してて

入荷を待ってたMixed Needのお皿。


入荷の情報が入り、

すぐさま幡ヶ谷のBULLPEN SHOPへ。


アメリカのポートランドに住む女性が

自宅のアトリエで一つ一つ作っていて

絶妙な淡い色合いとなんともいえないテイストの絵で、

形のいびつな感じもまた可愛くって選びきれず2枚購入。


ひとつは作業デスクの横のシェルフに、

もうひとつはベッドのサイドテーブルに。



この世界にはまだまだ素敵なお皿があって

素敵な作家さんに溢れてて、

わたしは全然まだビギナーのペーペーではあるけれど

すっかり器の世界に魅了されてしまった。


今は小鹿田焼の7寸皿と

大聖寺伊万里の九谷焼の小鉢が欲しくて

地道に探しているところ。



でも我が家にはもう食器をしまえるスペースがない。

なので収納力のある食器棚をこさえる必要がある。


どんなに素敵な食器で料理を彩っても

使い終わって出しっぱなしにするなんて

あまりにもお皿に申し訳が立たない。


というわけで話は戻って

早急にキッチン収納を完成させなくてはなのだ!


それまではもう新しいお皿は買わない。

というか買えない。


ここで自分にルールを課す。


部屋に色を。

消去法の家具選びはやめる。

食器棚を買うまでお皿を買わない。



やるぞ!