テイラーのライブに行ってきた。
もう三週間も前の話になるので
だいぶ今更だけど、
そんなに時間が経ったとは思えないほど
鮮やかにわたしの中に残っているので
今年の思い出は今年のうちに、ということで
ここに書き記したいと思う。
わたしがテイラーのファンだということは
このブログはもとより
色々な場所で発言してきた。
そんなテイラーが3年ぶりに
来日公演を行うということで
わたしは未だかつてないほど
ソワソワしていた。
それは小学生の頃の遠足の前日なんて
比じゃないほどのソワソワだった。
ライブの一週間前がまさにピークで
仕事をしていても打ち合わせをしていても
上の空になっていたほど(今だから言える笑)
心が落ち着かない日々を送っていた。
年齢を重ねる度に
何かに対して追いかける熱量を
保ち続けることが難しくなってきた。
若い時は寝る間も惜しんで
追いかけていたことも
だんだんと「嗜む程度」になり
毎日溢れ出てくる情報についていけなくなって
いつの間にか離れている、なんてことが
珍しくなくなった。
何かに対して「ハマる」というのは
とってもエネルギーがいること。
自分の生活の優先順位で上位に食い込むほど
好きなものを見つけることや、
さらにそれに対して
追いかける労力や時間を割くってことが
どれだけ難しいことなのか、
ここ数年はその大変さを如実に感じていた。
例えるなら、かつて
大好きなアーティストのライブなら
モッシュでもみくちゃにされてでも
何が何でも前の方で観たい!と思ってたのが
いつの間にか最後列でお酒飲みながら
ゆっくり体を揺らして見るのが至高でしょ、
という考えに変わっていったっていうのと
似たような感じ。
それが単なる加齢による体力の衰えなのか、
わたしの好奇心の衰えなのかは
わからないけれど。
でも、テイラースウィフトには
そんなわたしの傾向を覆すほどの
とてつもない引力があった。
それは、
好きだから追いかけないと!
好きだからコンプリートしないと!
と自分に圧をかけて言い聞かせるような
「好き」ではない。
ただ純粋に彼女のことを知りたい。
彼女のために何かするのが幸せで楽しい。
という、本来ファンがそうであるべき気持ち
一色にさせてくれるものだった。
わたしを久し振りに
こういう気持ちにさせてくれたテイラー。
そんな気持ちをじゃあ
どうやって表現するかと言ったら
わたしの場合はもちろん絵になる。
テイラーの絵を描くだけに留まらず
今回のライブのために自費で
144ページにもなる分厚いイラストブックを製本した。
ライブの日に着ていくためだけに
プリント用のイラストを描いて
Tシャツとトートバッグをあつらえた。
そんなエネルギーが自分の中に
まだ残ってたんやと思うほど
私に活力を与えてくれたのだ。
近年では、好きなバンドのライブを観る時
グッズのTシャツに着替えることすら
億劫に感じていたわたし。
テイラーのためであれば
本の製作のみならずTシャツやバッグを
作ることなんてなんのその!と思うまでになれた。
もちろんアーティストに対する愛情の重さは
目に見える物や創作することで
測れるものではない。
でも、テイラーのファンの人たちはとても創造性豊かで
ものすごく手の込んだ衣装やアイテムを作る人が多い。
そんな人たちを見ていると
「わかるわかる。テイラーを好きな気持ちが
いてもたってもいられなくさせるんだよね」
とひたすら頷いてしまうのだ。
彼女には、そんな風に
ファンが行動を起こさずにはいられなくさせる
不思議な力を持っている気がする。
そんなこんなで、まんまと今回
テイラーにその気持ちを掻き立てられたわたしは
テイラーの絵が描かれたTシャツとトートバッグを身につけ
イラストブックを抱えてライブ会場へと向かった。
ライブの具体的な内容については
わたしの危うい記憶力なんかよりも
詳細で素晴らしいレポがたくさん溢れているので
そちらを是非とも読んでほしいのだけど、
本当に本当に、夢のような時間だった。
テイラーが、ステージから差し込む光と
スモークと共に現れた瞬間、
「てててテイラースウィフトが、
日本に、東京に、今ここに、
時差もなくまばたきをして、
呼吸をして、空気を振動させて
ここに存在している!!」と感極まった。
アホの子みたいな感想だけど
この時の私は本当にそれ以外の
何物でもない感情に満たされていた。
前のツアーもその前のツアーの時も
テイラーが登場したとき全く同じことを思ったけど
今回は特に強くそう思った。
自然に大粒の涙が溢れてきたし、周りでも大勢の人が泣いていた。
長い長い沈黙の末に出した今回のアルバムは
今までのテイラーのイメージとの
ギャップや変化がかなり大きくて
テイラーにとってもある意味すごく
勇気のいる挑戦だったと思う。
その変化に戸惑うファンや離れていく人も
きっと沢山いたのではないかと思う。
でも今回このライブでのパフォーマンスを観たら
絶対に離れてく人はまた戻ってくると思った。
むしろこれがテイラースウィフトの
歴代史上最盛期かもと思わせるほどの完成度だった。
大きな会場に満たされる人たちを
一瞬たりとも退屈にさせないように
凝らされた工夫の数々。
妥協も手抜きも一ミリもない
散りばめられたこだわりの数々。
夢を見ているのかな、というか
こんなことが実現するのって可能だったんだ!
と思わせるような圧巻のパフォーマンスの連続だった。
今回のアルバムを作るとき、
テイラーは世の中の自分に対する悪評や噂に
苦しめられた時のことを主軸にしたという。
ありあまるほどの富や名声を手にいれた人間にも
わたしたちと同じように心があって
生活があって、大切な人たちがいて、
守りたい存在がある。
それを脅かされ、立ち直れるかどうか
わからないほど傷ついた時に作った作品だからこそ
復帰劇ともいえる今回のツアーは
彼女にとって大きい意味を持っていたのだと思う。
その強い想いが伝わってくるものだった。
手が届かないほどのスター歌手が
さらされる悪評の力。
それがどれほど強い攻撃力を持ち
どれほどの痛みをもたらすものなのかなんて
わたしには見当がつかない。
そんな苦しさの渦中にテイラーがいたことを思うと
少し考えただけでも胸が張り裂けそうになる。
でも、やっぱりわたしの好きなテイラー・スウィフトは
誰にもなし得たことのないことをやってのける
とびきりのスーパースターだった。
いつの時代にも伝説と呼ばれるアーティストはいるけど
もうすでに亡くなってしまっていたり
かつての輝きが失われてしまっていたり。
その人の「最盛期」と呼ばれる時期を
リアルタイムで見届けるっていうことは
奇跡に近いことなのではないかとたびたび思う。
ビートルズ、マイケルジャクソン、
クイーンみたいにひとつの時代を構築した
アーティストの活動を
生で見ることができた人たちは、
本当に羨ましいなと思う。
だって、どんなに綺麗な映像や音声で
未来永劫記録として残されていたとしても
ライブの生の感動や、その場にいた空気感は
もう2度と味わうことができないのだから。
ファンの贔屓目だよと言われてしまったら
そこまでかもしれないけど、
わたしにはテイラースウィフトが
歴史に残るアーティストだという
絶対的な確信を持っている。
彼女は明らかに異彩の輝きを放っている。
これからもわたしたちの予測不能なことを次々と巻き起こし
数々の記録を実現していく女性だと思っている。
今がいつでも最盛期だと思わせること自体
とてもすごいことだけど
いつかテイラーが「昔はよかったよね」と言われる時が
来てしまったとしても、
わたしはテイラーの輝きをこうやって
リアルタイムで見届けたことを光栄に思うだろう。
その強い輝きが確かにこの瞬間存在したこと、
その輝きによって救われた事実は
これから先ずっと失われることはないのだ。
さっきから大げさに聞こえるような
話ばかりしているけど
本当に彼女に関しては
そう思わずにはいられないのだ。
どれだけ客観的に見ようとしても
好きにならずにいられない魅力がテイラーにはある。
惹きつけられずにはいられない絶対的なカリスマ性が
彼女にはある。
前々からテイラーは魅力的だったけど
今回のアルバムとツアーがさらに
それを裏付けるものになったと思う。
悠々と簡単に手に入れたものは脆いけれど、
今回の作品は彼女自身が痛みを乗り越えて
懸命に考え抜き、行動を起こして
苦しみをバネにして作り上げたものだから。
そういうものが持つパワーには
誰にも負けない説得力があるし
圧倒されるものがある。
公演中、何度も
「テイラーが今こうやって笑っていてくれてよかった」
と思った。
今回イラストブックを作ったのは
あわよくばテイラーの手元に渡せたらなと思っていたから。
テイラースウィフトという存在がいかに遠いもので
手の届かないところにいるのかというのを分かった上で
図々しいかもしれないがそんな願いを密めていた。
でも、ライブを観ていて
「まずわたしは何よりもテイラーが好きで、
楽しいと思うからこそ描かずにはいられなかったんだ。
彼女が笑ってくれたらそれだけでいいんだよな」
と考えるようになっていった。
その道の途中でいつかテイラーに
わたしの絵が届くことがあったら
それは願ってもいないほど嬉しいことだけど
それを目的や終着点にするのはやめようと思った。
好きって気持ちが
自分に行動を起こさせる原動力になることが
どれほど素晴らしいことなのか、
そういう力につながるほどのものを
見つけることがどれだけ幸運なことなのかを
改めて感じることができた。
とても幸せな時間だった。
一点の曇りもなく、
好きだと思うアーティストに出会えたこと。
そのアーティストのために何かしたいと思えること。
それが自分が心から楽しいと思えること。
いろいろな奇跡を与えてくれて
本当にありがとう、と思うことばかりだった。
たった二日間、夢のような時間は
余韻だけ残してあっという間に
終わってしまったけど、
一生忘れられない思い出になった。
これからもテイラー・スウィフトの伝説は
続いていくんだと思うと、
楽しみで楽しみで仕方ない。