2019-12-19

イデアリズム



気づいたら今年も残すところ2週間。

今年のことは今年のうちに、

ということで最近の出来事。




3年ぶりに引っ越した。


1人が住居を移るっていうのは

本当に大変なことで、

前回の引っ越しの時ももう2度と

引っ越したくないと思った記憶がある。


そう痛感したはずなのに

わたしは学ばないアホ人間で、

1日前に荷造りを始めるという暴挙に出た。


新居では家具などもろもろ一新させたかったので

未だかつてないほどの断捨離をした。

そのおかげで今回は24時間荷造り作戦はなんとか成功したものの

もう2度とこんな無茶するのはやめようと思った。


徹夜で引っ越しはあまりにもしんどかった。

あれもこれもやらなきゃと次から次へと出てくるし、

並行していつも通り仕事もしないとだし、

心の余裕がゼロだった。



前もブログに書いた気がするけど

随分長いこと難航して

半分諦めかかっていたお部屋探しも

ある日突然驚くくらいトントンと決まった。


新着物件に追加されたのを見てピンときて

次の日に不動産屋に行って内見もせず入居申し込みをして

もうまさに「乗るしかないこのビッグウェーブに」状態だった。



部屋の気に入ったポイントはいくつもあるけど

やっぱり何より街で選んだ。


自分と合う波長というか

匂いみたいなものが好きだなって感じる街が

それぞれ皆あると思うんだけど、

わたしにとってそれがこの街だった。


何年間ここに住むかわからないし

これから先何度か住む街を移ることは

きっとあると思うけど、

わたしの人生の中に

この街に住む時間がいっときでも

できることがとっても嬉しい。

(セレブな街とか憧れの街とか、そういうのじゃ全然ないよ)


きっとこの街の思い出も

いつか懐かしむ時が来るんだろうなーと思うと

これからどんな思い出ができるか楽しみ。




そしてこれは絶対気持ち悪がられるから

あんまり人に言ってなかったんだけど

前住んでいた家の近くに

毎日挨拶してた大きな木があったんだ。笑



毎朝コーヒーを買いにいく途中にその木はあった。

人がいないか辺りを見渡して

春は「桜咲いたね~すごい綺麗だね」、

夏は「暑いね~今日もセミにモテモテだね」、

秋は「だいぶ赤く色づいてきたねー、綺麗!」、

冬は「毎日寒いね、風邪ひかないでね」って

小さな声で木に向かって話しかけていた。


なんなら仕事がうまくいかない時は

愚痴りに行ってたし、

人間関係の悩みも相談もしてた。



はたから見たら完全にアウトな不審者だけど

タイミングよく葉が風に揺られたりすると

まるで反応が返ってきてるみたいで面白かった。


木も生きてるんだなーって思った。

勝手にこの木のことを友達みたいだと思っていたので

その日課がなくなって今ものすごく寂しい。



引っ越す前日は最後の挨拶をしに行った。


「わたし明日からここを離れちゃうけど、

元気でね。また会いに来るよ~。

たくさん話を聞いてくれてありがとう」

とだけ言った。


あの木は今頃何してるんだろうか。






・なんとなんと、ついにあのアーロンチェアがわたしの部屋にやってきた。






腰痛と肩こりが深刻化してきて

長い時間座るのが前より明らかにしんどくなって、

この仕事を続けていくためには

良い椅子を買わないとダメだ!と思ったのがきっかけだった。



長い時間をかけていろんなブランドを

じっくり調べてきた。

アーロンチェアがワークチェア界のトップに

君臨していることは知っていた。


あの尾田栄一郎先生や荒木飛呂彦先生など

漫画界の巨匠の錚々たる先生方が使っていたので

自分みたいなペーペーにはまだ

分不相応な椅子だとずっと思っていた。



なのでアーロンチェアの半分くらいの値段の椅子で

(それでも十分勇気のいる金額だけど)

それなりに腰の負担が

軽減されてくれればいいやくらいの気持ちで

大塚家具に試座しに行った。



お店についてまず一番最初に

お目当ての椅子に座らせてもらった。

その時の率直な感想は「ほ~」だった。


この「ほ~」の中には

「ほ~良い椅子ってこんな感じなのか~、

もっと感動するもんかと思ってたけど

座った感じは意外と普通なんだな。

でもこれで徐々に腰痛が無くなるんなら、

きっといい椅子なんだろうな」と言う意味が込められていた。



それくらいなんと言うか、感動が薄かった。笑


自分に「これは良い椅子なんだよ!」と

無理に言い聞かせている感じ。


もう一つ候補に挙げていた別のメーカーの椅子にも

座ってみたけどそれも同じで、

うーん…まぁなんとなく良い気がする?という感じ。


そのあと、隣のブースにあったアーロンチェアが目に入り

試すだけならタダだしバチ当たんないよねってことで

おそるおそる座らせてもらうことに。






それが決定的な瞬間だった。


もうね、あれは今思うと間違いなく恋だった。

かつて、バレードのジプシーウォーター(香水)を初めて嗅いで

衝撃が走った時と全く同じ感覚。


全身で「この椅子はすごい!」と感じた。

他の錚々たるブランドから出ているワークチェアも

もちろん良い商品なのだけど、

それより頭一つ飛び抜けてた。


口コミでは聞いてたけど

こんなにわかりやすいもんなのかってくらい

全てが超越していた。



アーロンチェアに座ってしまったが最後、

候補に挙げてた2つの椅子が霞んで見えてしまった。

もう無理だった。

わたしは猛烈に悩んだ。

なぜならアーロンチェアを全く買う予定ではなかったから。


店員さんに

「商売とか抜きで答えてほしいんですけど、

この椅子っていいと思いますか?」という

意味不明な混乱混じりの質問をした。



一人じゃ決められなくて

友達・父親・編集長に電話で連絡したり、

ヒカキンの仕事論についての動画を見始めたり

相当恥ずかしい客だったと思う。笑


わたしだったらこんなやつと一緒に

大塚家具で買い物したくない。笑




「わたし全然売れてる漫画家とかじゃないんですよ。

こんな良い椅子を買っても身の丈に合わなすぎますよね

と本気のトーンで悩んでいるわたしに

店員さんはすごく真摯に答えてくれた。


「集中力を上げるために

一番大きな役割を持つのは椅子だといいます。

こんなこと言うのもなんですが、

僕はいい机を買うよりいい椅子を買う方が

何倍も価値があると思います。

描くことが仕事の人の場合なんて特にそうです。

仕事中、自分の身体を全て預ける唯一の場所ですから。

長い時間身を預けても疲れないということは

より多くの作品を長く生み出せるということです。

身の丈なんて全く関係ないと思いますよ。」


だいぶ背中を押してもらった。



そして同じくヒカキンさんの言葉も、わたしの背中を押してくれた。



「僕がユーチューバーを始めて以来

ずっと変わらない一つの考え方がある。

その考え方で人生が色々うまくいったと思う。

それは、自分の夢や仕事に関するものは

その時自分が買える一番良いものを妥協せず買ってきた、ってことです。

貯金もほぼなかった頃、

夢のためなら貯金ゼロになっても構わないと思ったから

当時買える限界のスペックのものを買った。

送料の千円をケチって自力で持って帰ったら

次の日筋肉痛で動けなくなったりした。

もちろん無理するのは良くないけど

本気で目指してる夢なら全財産をはたいても

買うべきだと僕は思う。

値段が高ければいいってわけではないけど

その中で自分と相性がいいものを買えば長持ちするし

自分への良いプレッシャーにもなる。」



「やっぱりトッププレイヤーの人は

みんないい道具を使ってる。

その道具を選んだ理由が絶対あるはず。

少し背伸びしてでも一流の人が使ってるものと

同じものを使ってみることに意味がある。

買ってすぐにはわからないかもしれないけど、

俺ってこんなにできたのかって

本来自分が使ってたものじゃ出せなかった

本当のパワーが出せたりするんですよ。

例えば言動一つにしてもそうだし、

一流の人の行動、性格、道具全てがヒントなんだよね。

23位は関係ない、1位の人にヒントがたくさん詰まってると思う」



「一流の人は一流のものを使ってるから

それを使えばもしかしたら

一流の人の気持ちがわかるかもしれない。

そういういいものから得る体験とか、

成長って大きいんですよ」



もうわたしなんかがこの言葉を参考にするのも

本当におこがましいくらいだけど、

購入を決められたのはこの言葉がかなり大きかった。



そんなこんなで、ドカーンと購入。

(でもビビって分割払い笑)


ついに、我が家に

夢のアーロンチェアさんがやってきたわけである!



座るたびにそのホールド感に感動だし

猫背がいかに人間の体にとって

負荷のかかった状態だったかも思い知った。


背もたれがしっかり腰にあてがわれて

支えられている状態がすごく快適ってことも

毎日感じている。

座るってすごく複雑な姿勢なんだなーということも。



こんな高い買い物をして後悔するどころか

これまでの人生で1番買ってよかったものになった。

1ミリたりとも後悔はない。


むしろ妥協して違う椅子を買っていたらと思うと

ずーっと後ろ髪引かれながら

仕事していたんだろうなって

その方がずっと恐ろしい。



店員さんに

「名前つけましょう!きっと愛着わきますよ」と

言われたので、名前をつけた。

名前はウルさん。

由来はジブリの魔女の宅急便に出てくる画家、ウルスラである。

理由は彼女が作中で言った言葉がとても好きだから。




「わたしさ、キキくらいの時に

絵描きになるって決めたの。

絵描くの楽しくってさ。

寝るのが惜しいくらいだったんだよ。

それがね、ある日突然描けなくなっちゃった。

描いても描いても気に入らないの。

それまでの絵が誰かの真似だって気づいたんだよ。

どこかで見たことがあるって。

だから自分の絵を描かなきゃって。

でもそのあと少しだけ、絵を描くってことがわかったみたい」


「魔女の血、絵描きの血、パン職人の血、

みんな神様がくれた力なんだよね。

おかげで苦労もするけどさ。」


「わたしもよく描けなくなるよ。

そういう時はジタバタするしかないよ。

描いて描いて描きまくる!

それでもだめなら、描くのをやめる。

散歩したり、景色を見たり、昼寝をしたり、

何もしない。そのうち急に描きたくなるんだよ。」




尊敬する人物か思い入れのあるもの、

好きなキャラクターから名前をつけようと思ってて

ウルスラにした。愛称はウルさん。


これからよろしくね、わたしの相棒さん。

一生大切にしよう。



矯正の経過とかこの他にも色々書こうと思ったけど

アーロンチェアの感動でこんなに長くなってしまったから

一旦ここで。



はあ~、仕事がんばれ、わたし!

この素晴らしい椅子に恥じない仕事をせねば。

言葉の通り背筋が伸びる思いである。

2 件のコメント:

  1. 素敵すぎる……
    私も皆さんの言葉を胸に生きていこうと思いました!
    ウルさんと共にこれからも素敵な作品をたくさん生み出してください✨

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  2. 魔女の宅急便の、このセリフ、大好きです。
    もがく想いに、希望を感じてハッとしたのを今でも鮮明に覚えています!
    325さんの絵やメッセージや作品に、大きな木さんや、椅子のウルさんが寄り添われてる姿が浮かんできて、とても感動しました!

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