あゝ、荒野

「あゝ、荒野」を観た。

格闘技って、血だらけで顔を腫らしながら

闘う様子が痛々しくて見ていられなくて

今まで触れてこなかったものの一つだった。

でもこの映画を観て

そう思うことはなくなった。

とても美しいものだった。

間違いなくこの映画は今年一番の作品だと思うし

最初の私のように「ボクシングに興味がない」って理由で

この映画を観ないままいる人は

本当にもったいないと思ったので、

漫画にすることにした。

なんせ５時間ほどある大長編の映画なので

その良さを詰め込むには４ページなんて全く足りないんだけど

ネタバレはせずに伝えたい要点は詰め込めた気がする。

これを読んで1人でも観たいと

思ってくれる人がいれば嬉しい。

Yahoo!映画の評価にわりと信頼を置いてるんだけど

私が見たとき星3.2くらいでびっくりした。

レビューを見ると絶賛してる人が多いのに、

星の数字が低い。

なんで！？といてもたってもいられなくなった。

菅田将暉のファンが濡れ場の多さに

アンチな評価をつけてるっていう噂もあるけど、

それがもし本当だとしたらなんとも言えぬ気持ちになる。

Twitterで濡れ場のシーンだけ

切り取られてものすごいリツイートの数と

どよめきが起きてるけど

あの映画のその部分だけ見ると伝わり方が全く変わってくる。

あのシーンがないとこの映画は成り立たないし

すべてを通して観るとなんて美しいんだろうと思えるんだけどな。

過激なシーンがあるとその部分だけ

強く伝わりやすいのかもしれないけど

そこだけじゃないんだよ、と言いたい。

菅田将暉ってすごい実力を持った俳優なんだなと

まざまざと思い知った。

失礼だけど芸能人に疎くて

綺麗な顔の人気俳優、くらいの認識しかなくて

今まで彼の作品をちゃんと観たことはなかった。

とんでもない若手俳優ってことがわかった。

このシンジって役は間違いなく彼しか

演じることはできなかったと思う。

この映画に出てくる俳優さんすべてに限らず、

作り手側のこだわりや作品に対する

愛情もひしひしと伝わってきて

エンドロールに記された名前を

じっと眺めてさらに感動してしまった。

観終わった後、結構年を召したおじいさんが

若い女の子２人組に

「俺は昔ボクシングやってた身でね

なんだか懐かしくなって観てて胸が熱くなったよ」と

嬉しそうに語ってるのを見かけて

私までとても嬉しくなった。

菅田将暉ファンなのかなと思しき

若い女の子のグループ、

1人で観に来てる無骨そうな若めの男性、

すごく真剣に観ながら涙を流す30代くらいの女性、

年配の男性と女性、

本当に幅広い年齢の人たちが映画館に溢れてた。

それほど多くの人の関心を集めて、

心に響く作品なのだと思う。

こんなすごい作品に出会えてよかった。

一切ごまかしてない、純度の高い傑作を観た。